創作と探検の日記。

文、絵、歌、布など自給しています。

ものがたり

20180120

残像 まだ残っている。まだ残っている。残像が残っている。あの映像が、あの光が残っている。適当なことを言っている。見た目がどうだとか、身なりがどうだとかそんなことを言っている。そんなことはどうだっていい。どうでもいいことだ。そんなことはなんの…

20180119

意識 あなたの意識はどこへ向かっていますか。どこへ飛んでいますか。旅に出ていますか。踊っていますか。歌っているのですか。意識が外に向かっています。ただそこで停止しています。それは本音ですか。こちらはむき出しですから、いつの日も晒け出していま…

20180118

あの頃 「あなたがあの頃。」Kが言った。「あなたがあの頃に手放した好きだったこと。それらの理由はそれが嫌いになったからではありませんでした。むしろ体質の方でした。その組織のおける、体質と肌が合わなかったのかもしれません。個人よりも集団を重ん…

20180117

球体 大きな大きな球体が空を覆うように現れて止まってその場で揺れていた。灰色をしていた。湿っているようだった。窮屈そうだった。何かたくさん、たくさん抱えているようだった。時折白くなった。隙間から白く漏れ出す光が現れた。眩しかった。その光を追…

20180116

我が物顔 「あいつはどんなものでも我が物顔で僕の大切なものを奪い去っていく。僕がどれだけ大切にしていようが、例えばそれに名前を書こうがきっとそんなことは御構い無しなんだ。僕は自分の物として大切に使おうと思っていたのに、あいつはそれを平気で持…

20180115

座っていた 座っていた。座って映像を眺めていた。映画なのかもしれない。ドラマを見ているのかもしれない。お笑いの番組なのかもしれない。確かに見ていた。あの頃見ていた。食い入るように眺めていた。戻れるのかと思った。懐かしいという感情ではなかった…

20180114

灰色をした風 灰色をした風がどこかで待っています。探さなくちゃ。探さなくちゃ。「何を探すの?風?それとも色?それは見つかるものなの?」きっとあるから探さなくちゃ。だからといって走り回っちゃいけないし、だから何度も何度も色を重ねて、塗り合わせ…

20180113

ココナッツ ココナッツの香りが漂い始めて気付けば常夏の浜辺に腰掛けている。相変わらず横揺れが続いているが、確かに景色は行ったこともないハワイを思い浮かべているのかもしれない。少し音楽が賑やかすぎた。BGMのことだと思う。それがあまりにも賑やか…

20180112

飛んだ、跳ねた 飛んだ、跳ねた。追いかける、追いかける。小さな女の子が飛んだ跳ねた。赤いワンピースを着た女の子。女の子はおかっぱ頭だった。踊る踊る。ハンカチを片手になびかせながら踊る踊る。スキップしながら飛んでいく。ニコニコしていた。追いか…

20180111

呼びかけ ちょっとした呼びかけだった。後ろを振り向くとそこにいた。彼はもうすっかり内向きに、内面での生活を余儀なくされていたから、ただ彷徨っていただけだったのかもしれない。手には買い物袋を下げていたが、それも実際に買ったかどうか分からなくな…

20180110

薄明かり 薄明かりが入り込んでくる。白い光だった。暗闇にいたかと思っていたが、気づけば手元を照らしている。あの時は確かに暗闇の中にいた。目を開いても、手元は見えなかったし、ただ匂いであったり、肌で感じているものは存在していた。彼は未だに感情…

20180109

対象物 対象物はありません。何を描いているのかもわかりません。どこに向かっているのかもわかりません。それでも私は風景を描いているし、そこにある背景を描いているのかもしれません。紙に映ったのはどこかで見た風景だったのかもしれないし、まったく見…

20180108

洞穴 洞穴の中から見渡していた。外は晴れているようだったが星が出ていた。大きな星がひとつだけ煌々と照らしている。まだ朝だったと思う。洞穴の中は薄暗く、かと言って真っ暗ではない。紺と紫が入り混じっていた。星の明かりは洞穴の手前で遮られていた。…

20180107

スタートライン 暖かい気候だった。もう始まっていたのだ。ついていけるか分からなかった。私はスタートラインに並んでいた。タンクトップに短パン、いかにも軽そうな材質を使っているのを着ている。私は何を着ているのだろう。確認するほどの余裕すら持ち合…

20180106

生ぬるい風 生ぬるい風が木々を揺らしていた。葉が無造作に揺れ、その振動は間も無く彼をつたう。身体中をなんと無造作にまとわりつくこの光景を、彼は見聞きしながら観察する。絶えず話し声が聞こえる。口から出る言葉が宙を舞って、空で弾けて分裂した。そ…

20180105

解説者、傍観者 「分からなかったんです。何で絵を描いていたのか分からなかったんです。ただその時だけは一体になっていました。間違いなく怒っていたし、もうそのままを体内から出してしまおうと思いました。私は溜め込み過ぎていました。何に対しての怒り…

20180104

隣り合わせ 「君はいつだって私と隣り合わせだ。君の選択次第かもしれない。君が何を選び取るかだし、今も君とは隣同士の間柄なのだと思う。君は布団に横たわりながら次の選択を考える。そして不安に襲われる。より身近に私の存在を感じ始めている。私は君が…

20180103

夜明け 静かに過ごしていれば何も邪魔されることはなかった。「結局は自分がどうするのかを決めることだね。何ら問題なかったはずさ。自分さえ静かに、自分自身に目を向けるとだけを決めてしまえば、あとは簡単なことだった。きっと外部は騒がしいままだろう…

20180102

間延びした時間 間延びした時間の上に乗って辺りを見渡していたが、出口は見当たらずどうやら迷子になっているようだった。備え付けられたテーブル、配置された椅子、そこに座っていたのは確かだった。薄らいでいく意識をなんとか繋ぎとめようとする。決して…

20180101

鐘 深夜になり鐘の音が鳴り始める。あちらこちらから、それぞれ違った音色を奏でていた。もうすぐ年が開けるようだった。10分ほど前になるとそうやって年の終わりを感じさせる。そして新たな年への期待を抱くような音色に転調していく。風邪が悪化し家の中で…

20171231

混同 またどこか遠くへ行っていたようでした。いったいどれほどの記憶が私の中に隠されているのでしょうか。その度に現れる感情のようなものを紐づけているのだろうか。全く別の体験であったはずの出来事が、感情一つで、似ているという理由だけで、芋づる式…

20171230

積年 そこにあった詰まりだとか、淀みというのはいつか痛みに変わるのだろう。その痛みを受けてからで無いと気づけないのだとしたら、どうしてそんなにも酷使し続けてなくてはならなかったのだろうか。「あの家は。」Kは言った。「あの家はもう私の家ではな…

20171229

記憶 あなたはもう知っていたんです。そう、もう世界を見わたそうとしなくても、もうすでに知っていた。仕舞い込んでいたのかもしれない。あなたは女の子だったし、男の子だった。そのどちらをも演じていた。どちらも存在していた。そこに何か疑問があるのだ…

20171228

香り またまったく同じように、以前と同様にそれらを感じ取ることは大変難しいのだろう。もしかしたらもうそれらを感じ取ることは出来ないのかもしれない。それらとは多分あの安堵感であるとか、触れた空気について改めて味わうと言った、あの肌で触れ合った…

20171227

室外機 室外機の音が鳴り響いているようだった。この部屋にエアコンは付いていないはずだったし、隣の家だったのだろうか?唸るような音に目を覚まし、そのまま炬燵へ潜り込んだ。太陽が正面から入り込む。目を閉じるが隙間から光は漏れ、目の奥へと侵入して…

20171226

皮膚 昨日までは確かにここにいたはずだったのに、もう行ってしまったのね。立ち止まろうとはしない。あの人はいつも立ち止まろうとしない。ただ停滞する。必要だから停滞していた。動きながら停滞している。じっとしているわけでも取り乱しているわけでもな…

20171225

噂話 噂話。私の耳元で、私の噂話。手馴れたものだった。彼女たちの噂話ときたら巧妙で、決して私のことではないように噂をする。それでも意識は私の方に向いていて、私は知らん顔。どうせどんなに地球が回ったとしても、きっと同じ場所を堂々巡り。抜け出す…

20171224

独白 「何か悪いことなのでしょうか?これは悪いことですか?私は誰に問いかけていますか?私は幼稚なのです。未だに大人になれません。なろうと努力したところで私はいつまでも幼稚な状態なのです。努力しても出来ないことがあるとするならそういうことでし…

20171223

残ったもの 例えば君がその怒りを、何もかもを吐き出したとしよう。するとどうだろう。君は何もかも言いたいことを言い、さぞスッキリと気持ちよく今後を過ごすことが出来ると考えるかもしれない。しかしだ。本当のところを言うと確かにその瞬間に関して言え…

20171222

しゃがみこむ 不愉快なその足を蹴飛ばして私は遠くへ行こうと決めた。お前なんぞに触れられるほど容易くない。容易ではないのだ。だから私はこの場を立ち去ったのだ。しかし向かった先で待ち受けていたのは、また男どもの障壁だった。どうして、どうしてそこ…