溝井孝司のちゃらんぽらんちゃん。

詩的な日記小説です。児童文学みたいな人が書いてます。

江ノ島をめぐり帰り道スーパーに行ったこと。

残り香が知らせること

 そこには人がいた。残り香を置いていったのは、あなたの愛する人だ。あなたの大好きな香りだ。香りが私を安心させる。それはあなたの香りだからだ。私の愛する人の香りだからだ。置いてあった忘れ物は時間とともにそっと消えていく。それは忘れることではない。私はその香りを知っているからだ。またその香りからあなたを思い出すことが出来る。あなたがいたことを思い出すことができる。風に乗って運んでくる。風は香りを運んでくる。風に乗り行くよ。風とともに行くよ。口笛吹いて。鼻歌歌って。風とともに行くよ。

 

江ノ島を散策したこと

 大阪から友人が来ていて一緒に江ノ島に行った。彼のことを僕は「まっつん」と呼んでいる。僕の数少ない男友達だ。彼は分け隔てがない。どんな人とでも、気軽に、卒なくコミュニケーションを取ることが出来る。好き嫌いはあるのだろうが、振る舞いを知っている。身のこなしがうまいのだ。彼はいつの日も、誰といても軽快にステップを踏み、踊るように話す。そして、天性のプロデューサー気質なのだろう。人を活かすことに長けている。人の輝かせ方を知っている。肩書きは様々に持っている。プロデューサーや占い師、姓名判断師。坐禅の指導なども行う。とても多彩だ。しかし、全てが一つに通じてる。僕は彼の前だとベラベラと話し始める。有る事無い事言う。支離滅裂なこと語り始める。それでも半ば適当に聞き流し、半ば真剣に耳を傾けてくれる。その距離感が絶妙なのだ。間合いがある。間を持っているのだ。その使い方にセンスを感じる。そして「お前は革命家気質だ!」と褒めてくれる。褒めてくれてるのかどうかは本人しか知らないが、僕は褒められていると感じる。聞こえてくる音はそう言っているからだ。僕は、彼に絶大なる信頼と自信を持っている。こいつはこれから何かやる男だと思っている。彼のコミュニケーション能力高さと人を見る力にだ。そんな、まっつんは19歳の青年と一緒に江ノ島に来た。引きこもり気味で、群れるのが嫌いらしい。とても話が合いそうだった。19歳の彼はすごく落ち着いているように見えた。そして、揺れを感じた。少しの揺らぎを感じたのだ。何かが芽を出しているようだった。そんな3人で至って普通に江ノ島を観光したのだ。二人はサイダーをいきなり買った。「江ノ島来たら江ノ島サイダーだ!」と言わんばかりに、スタートからサイダーを買った。まっつんは一口分けてくれた。気が利く男なのだ。周りをよく見ているのだ。いたって普通の江ノ島観光では岩屋を訪れた。岩屋は洞窟のようになっている。中は薄暗く、蝋燭に火を灯して歩くような場所もあった。岩屋には静けさがあった。静寂があった。人は静寂を感じ取ることができる。静寂というものを記憶している。人は静寂から生まれて来ている。そして恐れてもいる。静寂と対話することを知っている。岩屋には静寂があった。僕たちはそれぞれ独りになっていた。歩調は合わなくなった。それぞれが、それぞれの静けさに還っていた。途中、それぞれが椅子に座ってぼーっと海を眺めていると「地球には海が7割あって、僕は3割でしか生きてないんですね」と19歳の彼は言った。もう、夕方で閉店ギリギリのお店に入ってご飯を食べた。僕はカツ丼が食べたかったが、悩んだ。江ノ島でカツ丼ってどうなんだろうと。しらす丼とか江ノ島丼とかがある。でもカツ丼だった。もう、数週間食べたいって言っていたのだから。食事中は特に喋らない。無理に喋ることもない。その距離感がまたいい。食べながら喋るのは苦手だ。食べた気がしないし、妙に切ない気持ちにもなる。食べたか食べてないかわからないけどお腹にある切ない感覚だ。食後SNSや空間について話をした。そうしたら閉店になった。江ノ島に満足して猫と戯れながら駅に向かった。ちょうど帰り道は夕日が沈んでゆくところだった。まじまじと見ることってあまりない。夕日は赤かった。赤から青とか紺にグラデーションがかった空は綺麗だった。夕日が沈んでもそれは明るかった。一気に暗くならない。ONとOFFははっきりしていない。0か100かでもない。グラデーションがある。それが空だった。

 

レジマシンと目を合わせて声をかけること

 「いらっしゃいませ!」「お惣菜が3点で330円になります!」「こちらクーポン券が3枚出ております!」「ありがとうございました!」私はレジマシンだ。人の心を失ったレジマシンだ。私はレジだ。声に心はない。私は人ではなくレジです。「いらっしゃいませ!こちらへどうぞ!」目は合わせません。レジですから。「合わせまして1120円んになります!」大きな声ではきはきと。音量は設定された音量です。「いらっしゃいませ!」動きは一定であります。ブレることはありません。安定しています。なんせ、レジですから。「ありがとうございました!」

僕は「ありがとうございました。」って目を見て伝えるように言ってみた。そんな気持ちになったから伝えようと思って言ってみた。

 

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トマトを励ますアボカド。

モチーフにして絵を描くのが良い。

ちょっとハマった。

 

江ノ島はいいね。

平賀さち枝さんの江ノ島聞きながらえのでん乗った。