溝井孝司のちゃらんぽらんちゃん。

小説のような日記です。児童文学みたいな人が書いてます。

20170621

 「少し息苦しいなと思います。胸が苦しいというかうまく説明できませんが、そういうことなんです。とにかく息苦しい。胸が詰まるんです」男はそう言って、水を一口飲みこんだ。風で窓ガラスが揺れるたびに怯えるように体をすくめるのだった。「怖いんです。今とても怖いんです。私は恐れています。わからないんです。ただ私は支配しているし、されているんだということに気がつきました。人を利用し、されているんだということを知りました。そのことに怯えています。私にはそんな力はありませんし、能力もありません。でもそれがあることも知っていました。洗脳だって出来ます。私には人を洗脳することだって出来るのです。それはいけないことだと思いませんか?私はいけないことのように思うのです。洗脳はいけません。しかし、これまでも幾度となく洗脳を繰り返していました。だから、もうどうしていいのかわかりません。そう言っている今私は誰かに洗脳されています。洗脳しているとい言いながら、洗脳されているのです。」また、強い風が吹いた。窓ガラスが揺れた。男は水の入ったガラスコップをただ見つめている。焦点はあっていない。見ているが焦点はずれていた。ガラスコップを見つめてみるようで見つめていない。「ずっと頭が重たいんです。脳が重たいんです。重圧を感じます。そのことを知覚しています。重圧を私は知覚しているようなんです。この重圧から逃れたいです。逃げ出したいです。しかし、逃げる気力もありません。思い立つことはあります。思い立った瞬間に、気力はもうなくなっています。私は、ただこうして椅子に腰掛け、水を飲むことくらいしか出来ません。トイレにもいけません。そのまま用を足します。ここから動く勇気がないのです。動くということは重圧を連れて行くことになります。それは危険です。失敗の元なのです。ここから動かないでいれば私は失敗などしていないことになります。わかります。それが失敗であるということもしっています。しかし、私にとっては成功なのです。いや、成功ですらありません。そのことは知っています。分かっています。申し訳ありませんでした。申しわけありませんでした。」

 

劣等感

 私は劣等感を抱いて生きてきました。これはずっとずっと昔からです。幼稚園の頃、平気な顔をしてバスに乗れる友達に。補助輪をつけずに自転車に乗れる友達に。勉強の出来る友達に。絵が上手い友達に。スポーツが出来る友達に。歌の上手い友達に。楽器の上手い友達に。面白い友達に。それはそれは輝かしく見えたのです。次第に、その劣等感を隠すように努めるようになりました。そんなものを見せることは社会生活を送る上で不要なものです。そんなことよりも普通に働き、普通の生活を送ることが優先だったのかもしれません。しかし、劣等感はいつの日も私について回りました。片時も私を話すことはありません。袖を掴んで、何度も何度も私の気を引こうとします。次第に私は怒鳴りつけるようになりました。私の気を引こうとするものを怒鳴りました。しかし、一向に止める気配はなく気づけばエスカレートするばかりです。そうやって私は劣等感に苛まれてきました。気づけば学校に行くことに自信を失いました。仕事をすることも、人に会うことも、話すことも。そうして、こうやって書くことさえ。自分の存在さえも自信を失ってしまったのです。ポジティブに振る舞うことが私には出来ませんでした。ポジティブである人を見ると、私はより社会から世界から距離を取るようになって生きました。目が虚ろになり、立っていられなくなることさえあります。堂々としていることは私にはとても難しいことです。笑顔を作ることは大変に困難です。言葉を交わすことなどもってのほかです。私に出来ることは何もありません。何一つとって人のためにはならないのです。死ぬ勇気もなくただそのことについては努力しています。死なない努力をすることだけ努力しています。それが今後一生続いて行くのです。

 

 雨はどこからやってきた水ですか。どこの海ですか。海はどこも海ですか。太平洋ですか。オホーツク海ですか。バルト海ですか。それとも湖ですか。川ですか。川は海に続いていますか。この雨はどこどこ産ですか。どの水が混じっているのですか。雨はただの水ですか。なんで飲もうとすると汚いというのですか。なんで雨は汚れてしまったのですか。汚いなんて言われるんですか。汚したのは私ですか。それとも雲ですか。風ですか。私ですね。そうなんですね。本当に申し訳ありませんでした。雨は落ちてくるのですね。昇ってはいないのでしょうか。雨は昇っています。雨は落ちてきません。私はひっくり返っています。地球上に立っている。ひっくり返っています。磁石でくっついています。ただくっついいるだけです。雨は落ちてきていません。昇ってきてます。私が落ちて行きます。

 

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どしゃ降り。

ばしゃ降り。

びちゃ降り。

 

雨雨つよし。