溝井孝司のちゃらんぽらんちゃん。

小説のような日記です。児童文学みたいな人が書いてます。

20170623

あなた

 まずここに書きしるさなくてはなりません。それはあなたのことであります。そうです。あなたのことを私はずっとずっと存在していない物のように扱って来ました。それにはいくつか理由があるのだと思いますが、あなたがいたが故に私の人生は大変窮屈なものになっていきました。なっていったというのは誤解が生じると思いますが、すなわちもう私にとって生まれた瞬間にひとつの窮屈さをもって生まれたと言ったようなところです。私があなたを隠しておかなければいけなかった理由は嫌悪感にあります。私はあなたのことを汚らわしいと思い続けていました。こんなものが私の手の届く場所にあることすら不快に感じておりました。そして、そのことを私の周りにいる人たちに気づかれてはならぬと必死に隠し通そうとしました。しかし、あなたは来る日も来る日も過ちを繰り返し、私に絶望を見せつけるのです。私は見てしまった。あなたが必死になって奪われたものを取り返そうとする姿を。私はそれを見て見ぬ振りをしました。そんなことに関わっている余裕などありません。私は私の保身が大切です。なんとか努力して築き上げた社会との関わりと、地位を崩すわけにはいきません。私はあなたと同じ道を辿ってはいけないと全面的にあなたを排除するように心がけました。そうです。私はあなたを排除したのです。しかし実際に排除することなどは出来ません。私は罪を犯すことを恐れたからです。ですから、あなたの存在をかき消したのです。そう、ふるまうことであなたという存在は綺麗さっぱり消し去ることが出来たのです。もう、私の中からあなたの存在というのは消え去っているはずでした。しかしです。そうですここが問題なのです。あなたの存在がどうしても私の脳裏をかすめてゆきます。私の言動や行動。ちょっとした動作などがそうです。そういったちょっとした行動の私自身の中に、あなたを垣間見てしまう瞬間があるのです。私はそのことにひどく落ち込み、嫌悪感を抱きます。なぜ、消し去ることが出来ないのかと怒り狂いました。出来るなら排除してしまうべきだったのです。しかし、それは道徳的には許されないのかもしれませんが、私にとってそれは死活問題です。あなたの存在そのものが私にとって死活問題だったのです。そのことにあなたはきっと気づいてすらいない。きっと汚い部屋の中で息を吸い、のうのうと生きているのでしょう。それに比べて、私はどれだけそのことを隠し通し、社会との接点を切らさないために努力して来たでしょうか。そのために苦労して来たと言ってもいいかもしれません。それほど重要な案件だったのです。この隠蔽こそ私が生涯かけてやり通さなくてはならなかった案件だったのです。しかし、それはあっけなく明かされてしまったのです。いとも簡単にです。私はそのことを相談するわけにはいきませんでした。誰にもです。なぜなら未だに私はそのことを隠蔽し続けようとしています。諦めきれないのです。ここまでの苦労がすっかり意味のないものになってしまうことが許せないのです。そのことをあなたは知っているのでしょうか。きっと何も知らずにいることでしょう。私だけが、一人背負いこみ幼少期を棒に振ってしまったことをあなたは知らない。様々な間に立ち調整をし続けて来たことをあなたは知らないのです。あなたたちは知らないのです。その様がこれです。私は逃げ場もなくただ苦しみ続けているのです。あなた方の行いが私の体に入り込んでくるのです。人の目が、私を縛り付けるのです。人の目に私は監視され、ボロが出ないようにと必死に隠蔽を続けたのです。その苦労こそが私のこれまでの人生だったのです。もうどうすることも出来ません。全て水の泡です。消えてゆきます。ひとつ言えるとするならば、私の記憶から消え去ってくれさえすればいいのです。すっかりいなくなってさえしまえば他に言うことはありません。もう限界なのです。私はそのために自尊心というものを失ったのですから。すべては自己否定につながるのです。この運命をどう変えることなんて出来ましょうか。どうしたって、行き着く先はあなたの存在なのです。今この瞬間に私が笑っていたとしてもその笑顔にはあなたの笑顔が焼きつき、その笑顔を私は嫌悪しているのです。いま、私が発する一言があなたの言動と一致を見つけ、私は自身の声を言動を真っ向から否定するのです。そして、絶望するのです。あなたがいなければどれだけ自由で、軽やかに人生を歩んでいたことでしょうか。今ではそれも叶わぬ夢となりました。私が最も手にしたかったことでした。人と変わらずにいることです。そうです、それが何よりもの夢だったのです。しかし、その夢をあなたは壊し、次第に私の隠蔽も暴かれてゆきました。それがいまなのです。いまであるのです。あぁ、私はうなだれるしかないのです。部屋の中で一人うなだれているしかないのです。

 

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あなたのせい。

あなたのせいだと言っている今も、それを否定している自分がいるのです。

自己責任論に持っていくのです。

 

こうやってひとり隠蔽工作をつづけるのです。