溝井孝司のちゃらんぽらんちゃん。

詩的な日記小説です。児童文学みたいな人が書いてます。

20170710

言葉

 ようやく言葉が出てくると言うことがあります。何ヶ月もたって、全く触れてこなかった事柄に対して、言葉が溢れてくると言うことがあります。何年も経っていることもあるかもしれません。しかし、その言葉が出てくる瞬間というのに出会う時ほど嬉しいものはありません。嬉しいと言っていいのかすらわかりませんが、とにかくこれが言いたかったんだというその瞬間に触れるということです。こうやって書いていることでその瞬間が訪れることもあれば、そうでなく突然湧いてくるようなそんな感覚もあります。どちらでそこにたどり着くのかは全くもって分からず、ただそのことを待つことも出来るのかもしれないのですが、それでもこうやって継続するということが結局必要であるとそう思えるのです。この行為自体に意味がなかったとしても、まったく関係ないところで意味を見出す瞬間さえあります。だから、目の前で行われるこの行動自体をどうこうと問うことあまり意味のないことなのかもしれません。それならば、行動をただ続けて行くことが、何よりも重要であり、そこに意味を求めるならばそれは量が足りていないと自ら公言しているようなものなのかもしれません。だから、私はひたすらに書いているし、その行為をただ永遠に続けて行くのだとそう思うのです。

 

カラス

 カラスが何匹も何匹も飛び立って行く。飛び立ってはまた家の周りをウロウロしている。カラスは飛ぶ。その目で飛んでいる。突然、曲がる。まっすぐに飛んでいたかと思えば、直角に曲がる。そう言いながらもカラスは「カァ、カァ」と鳴いている。目の前には雲が浮かんでいた。私はただ雲を通り抜けたし、くちばしと羽を使って雲を通り抜けた。柔らかくも、硬くもなかった。ただ少し濡れたような感じはした。私は一目散に飛び続けていた。そこには海があって、違う鳥のような生き物も飛んでいる。私たちの住処を荒らさないのであればそれでいい。私たちが人間の住処を荒らしていると言うが、何を言っているのだろうか。住処など所有できるはずないではないか。もともと此処は大地だった。木々が生えて、他の動物も過ごしていた。虫がいた。それなのに、私たちの虫をお前らは住むことさえできないようにしてしまった。私は木に止まっている。ただじっと見つめた。木はカラスのことをただじっと見つめた。「調子はどうだい?」木はカラスに問いかけた。「調子もクソもあるか。見てみろ。このザマだよ」カラスは言った。木は頷いていた。「君の言いたいことはわかるよ。よくわかる。」ただそうとだけ言って、木はまた眠ってしまった。「なんだ、寝ちまったのか」カラスは「カァ」と一声鳴いて、また飛び立った。家の前に来た。この家はよく窓が開いている。木造の家だ。俺はこの家を覗き込む。特に意味はない。開いているから見ているだけさ。どんな風になっているのか興味がある。どんな奴がそこにいるのか興味がある。閉まり切った家に興味はない。開放的な家に興味があるんだ。特に邪魔をするつもりもないさ。入り込もうなんてこれっぽっちも思わないさ。俺は外にいることだけで十分さ。雨風を凌げる場所だって知っている。俺はこの辺りのことはなんだって知っているのさ。もう、何年もこの辺りを飛び回っているからな。「カァ」また一声鳴いた。バサバサと羽をばたつかせた。

 

 羨ましいのですか?誰かが誰かと楽しそうにしていることが。羨ましいのですか?どうして羨ましいのですか?あなたはなぜそうしないのですか?羨ましいならやればいいのだと思います。それなのにやらないのはなぜですか?怖いのですか?怯えているのですか?何をしているのですか?誰かに言われたのですか?どうしましたか?どうしようとしていますか?あなたはなぜそうしているのですか?どうして。どうしてなの。いつもそうなの。私はいつもそうなの。いつだってそうなのよ。そのことは事実であるのよ。だから弁解の余地はないわ。私は事実であるの。それは証明されているし、変えることのできない事実なのよ。だからもう何か手を加えることも出来ないの。あなただってそのことをよく知っているでしょう?どうしてそんなこと言うの?私にはどうすることも出来ないの。わかっているでしょう。わかっている。わかっていると言いながら俺は何もわかっていない。わかったようなふりをしてる。話を聞いているようだ全く聞いていない。何も聞いていないのだ。俺は自分のことしか考えていない。自分の内面で起こる事象にしか興味がないのだ。お前が何を話そうが、何を言おうが、俺の興味関心は俺に起こる反応ただそれだけだ。たとえお前が喜ぼうが関係ないことだ。お前が喜んでいるその事象を見て、俺は自分の事象を確認し喜んでいる。お前が喜んでいるから喜んでいるんじゃない。俺が喜んでいる。そのことに満足している。俺が満足していることに満足しているのだ。お前は勝手に喜んでいるだけだ。勝手に浮かれているだけだ。俺は自分に起こる事象を喜んでいる。その動きだけに耳を傾けている。そのことにしか興味がない。その動きにしか興味がない。人に興味がないのだ。わかるか。勝手に喋っていればいいさ。俺は聞いていない。自分の動きしか聞いていない。お前の反応など見ていない。俺の反応しか見ていない。その反応に喜んでいる。それが喜びだ。お前が喜びじゃない。俺が喜びだ。

 

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出てこなかった言葉が少し出てきた。

時間がかかる。

それでもいいのだ。