溝井孝司のちゃらんぽらんちゃん。

詩的な日記小説です。児童文学みたいな人が書いてます。

20170730

樹海

 確かにそこでは遠くまで見ようとすれば見えることができました。しかし、そこは木々の間を抜けて見つければであり、どこまでも広い海が広がっているようでした。しかし、近くを見ようとすれば、それは木一本になるし、遠くを見ようとすれば隙間ぬってどこまでも遠い場所を見渡せそうな気もしました。実際には隙間から隙間を見て、遠くと言えるくらいまで遠くを見えていたのだと思っています。そこでは広い草原が広がっているわけではなく、どこまでも木々が広がっているわけですから、どうも妙な気がしたのです。平らな場所に木々が広がり続けているというのは、あまり体験することはなかったし、森と言える場所に入ったのはもしかしたら始めてだったのかもしれない。これまで入った森も森ではあるのですが、それは出口があると分かるからであり、それに山道であることが多少安心させるような気もしました。しかしどこまでも平らであるということが、出口を無くさせるような気がしたのです。永遠に平らな世界に迷い込んでしまうようなそういう世界があるように思えました。それは狭間にいるようで、生きながら死んでいると言ってもいいような世界でありました。しかし、その狭間にいることが、それは泳いでいると言ったような感覚であり、私は目を瞑るとそれを暗いとか、色は黒いと感じていて、それでいて少しオレンジがかった色のように感じるのですが、その世界を泳いでいて、私は時間と空間の狭間にいるような、何よりも地に足がついていながらついていないような、空を飛びながら土の中にいるような、ふわふわしながらもしっかりと重さを感じており、その状態が私の中には存在していて、どちらかに偏ることもあるのですが、それでも狭間という空間に身を置くことでその絶妙なバランスを肌で感じることが出来たのであります。切り捨てられてしまう場所にこそ耳を傾けなくてはいけない。避けてはいけないのだと私は強く思ったのです。人が恐れている場所にこそ耳を傾けなくてはいけない。排除しようと試みたところで、きっと失敗に終わるのだと思い、結局その繰り返しが歴史であり、それであれば耳を傾け、対話を試みる。それは言葉としてではなく肌での触れ合いであり、体の接触だった。彼は光を発していた。緑がかった光をただ発していたのだ。迷い込んではいなかった。しかし、迷い込んでしまいそうな恐怖と対峙しながらも、それは私自身の迷いであった。断ち切るというよりは、それは消えることなどなく消そうと躍起になってはいけず、ただ存在を認め、対話を行うことでしか、共に歩むことはできず、それは泳ぎとして捉えた方がいいかもしれないし、私たちが日常で反応を起こす、その体の反応。その反応があったのだ。それは外の世界にも存在している。内側で起こる反応は外の世界でも反応してる。それは動きであるし、流れであるし、それは反応。微細な動き、衝動、破壊、破滅。それでも止まることはない。微細に、ただ揺れている。その動きは外でも行われている。内だけではない。内と外を分ける必要性がなくなったのだ。私から垂れ流される揺れは外での揺れと同等のもので、全くと言っていいほど同じ性質であり物質。私が人間であることなどとうの昔に知っているが、その事実が揺らぐことに意味があり、私は外の振動であるし、揺れているだけである。ただ流れ込んできた水に過ぎず、ただよっている湖に過ぎない。それでも確かに内側にその世界は存在していて、私は内側を泳いでいるのだが、泳いでいるのは外側の世界であり、どちらも泳いでいる。切り離なせるものでは無いし、切り離そうとしてもいけない。切り離したと思い込んでもいけない。ただ耳を傾けるのだ。切り離してはいけない。体を切り離す。耳を切り、大地に埋めるのだ。木の中に埋めるのだ。そうやって聞くのだ。口はきかない。黙り込む。沈黙する。沈黙。静けさを恐れてはいけない。沈黙から言葉を聞くのだ。それは流れ込んでくるものだ。恐怖から口を開いてはいけない。恐れてはいけない。喋らない。彼らは黙って見ている。私たちのことを見ている。私でもないし、あなたでもない。彼らは様子を伺っているし、ことあらば襲いかかってくるだろう。それは私たちが知らない。いつも襲いかかってきている。ただ揺れている。そのことを襲っているとは言えない。それはただの運動であるし、線である。揺れ。振動。太鼓の音が鳴り響く。太古の音。静けさ位には太古の運動が、耳を傾ける。私は太鼓に。太古に耳を。傾け。そして死ぬ。死んだ。私は死んだ。死んでいない。それを死んだと捉える。都合。人の都合。私は揺れている。死んだところで揺れている。これは印象。あの場所での印象。狭間での印象。狭間での動き。それがたまたま文字。そうすると文字。樹医。蘇る。樹医はいた。俺たちは聞いている。樹医の声を。信頼。決めない。判断。その場で。一瞬で。判断。決めつけ。節穴。思惑。思考停止。樹医。その声。流れる。湖は風。雲のほとり。そよいでいる木。流れ込む明日。漂う昨日。今はない。延長戦。終わらない試合。永遠。狭間の。狭間の中で。揺れていない。時は止まった。動いている。時間は止まらない、動かない。動いていない。時は止まった動いた。空間は避けた。抜け道だ。流れ込む。一気に流れ込む。裂けた、裂き布。私は裂き織り。裂いたように織っている。それが私の織り。組織はない。組織図は持っていた。組織はその通り、動いた。あの頃は。やがて消えた。私は一員。組織の。

 

お祭り

 家の近くでお祭りがやっていた。和太鼓の音が鳴り響いていたし、子供たちはダンスしていた。その姿に大人は拍手したし、喜んでいるように見えた。感動しているようにも見えたし、微笑ましい光景にも見えた。それが大人の都合のようにも見えた。感動のための商売。そう見ていた私もいたし、私は感動していた。それでも良いと思ったが、疑問を抱き始めてしまったのだから、それは仕方ないし、子供は本当に楽しませようと感動して欲しいと願っているようにも見えたし、それを仕向けたのは大人のようにも感じられ、子供は純粋だとか屈託のない笑顔を見せてくれるとか子供はいつの日も素晴らしいと感じていることに私は恐れを感じていて、それは私の子供時代が晴れやかなものかと問われた時に、素直にそうだと答えることができるのかがわからずにいたからである可能性。それでも、素直であった。大人の望むように生きた。それが喜びであることを喜んだ。しかし、僕は奥底へと消えて言ったような気がした。奥底で一人座り込んでいた。そっぽを向いて、もう耳を傾けようとはしなかった。誰の声も耳には入らなかった。手を握った。私が。男の子の手を握った。

 

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強い雨が降っていた。

空気を落としているような雨。