創作と探検の日記。

文、絵、歌、布など自給しています。

20171224

独白

 「何か悪いことなのでしょうか?これは悪いことですか?私は誰に問いかけていますか?私は幼稚なのです。未だに大人になれません。なろうと努力したところで私はいつまでも幼稚な状態なのです。努力しても出来ないことがあるとするならそういうことでしょう。しかしどうでしょう。その場合ですと、大変社会生活を送る上では困難なことが山積みであり、私はそれらをひとつひとつこなしていく勇気もなければ、そこに立ち向かうための活力すらも失っているのかもしれません。これは独白なのです。きっとそうでしょう。私は一体誰に向かってこのことを述べればいいのでしょう?語れば良いのでしょうか?見ていただければわかるように、山積みになっているその絵がそうだとしましょう。それがそうであるならば、すなわち私自身が幼稚であり、それが創作としてまったく無価値で、無意味であるとするなら、それは私自身がまったく無価値で、無意味であると言うことなのです。そのことはもうすでに明白であり、改善の余地がなく、その価値判断を私がすることはまったく出来ないのです。ああ、どうしてこんなことになってしまったのか。あの時、もっと耐えていたら、我慢していたら。私はどこで道を踏み外してしまったのでしょうか?落ち込んでいません。気にしないでください。口を挟まないでください。どうかただ聞くだけに徹してください。妨げないでください。どうして私を追いやろうとするのですか?あなたは誰?どこから来た?私は信用しない。簡単に信用してはならない。大抵が騙していくからです。私は騙されて来たの。しばらくして見たら私は標的にされるわ。存在をないものとして扱われるの。それなのに私はそこに居座らなくてはならない。チームだからとかそんな理由で。だってそうでしょう。そうでなくては試合に出られないの。だからそうしていたの。私の何が問題なのでしょう?うまく喋れないこと?コミュニケーションが円滑に行われないこと?才能がないこと?私はどうすればよかったの?私は誰に問いかけているの?私は誰と話しているの?相手のいない戯論。なんの意味も持たない。ああ、この言葉まで意味を持たないとしたら、私の価値は何?どこ?まったく許されない。私は許さないし、許されない。それが延々と続くの。私は許さない、許されないの。至って、単純なことよ。それなのにそれが途方もなく複雑に感じられるの。なんてタスクの多いことか。ただ生きるだけのことにどうしてこんなにもタスクが積み重なっているのか。眠りから覚めた瞬間に私の重労働はスタートする。体を起こすだけでも、動かすことが、まず第一の重労働。それ以前に、動こうと思えるまでも重労働。起きることすら、その時点からもう絶望。申し訳有りません。申し訳有りません。何が?誰が?」

 

追いかける

 結局なんらかにこじつけているのだが、見えてくるのはあの広いグラウンドの外野、その芝生の上で息を切らす少年たちの群れ。まるで羊。彼らは飼いならされ、ストップウォッチを持った羊飼いに睨みつけられ、その時間内に帰ってこない羊は延々と往復を繰り返す。時に罵倒。使えないだ、根性がないだ、男気がないだとか、そうやって延々と罵倒を繰り返される。ああ、本当に羊だったら何を言われようがこんなに傷つくことはなかったのかもしれません。しかし羊だってきっと知っているのかもしれない。たとえ飼いならされていようが、主人がどんな機嫌だとか、どんな調子だとか察しているのかもしれない。ああ、また時間に追われる。まもなくスタートだ。このまま倒れ込んでしまおうか。意識は朦朧としながらも冴えていた。嘔吐する者もいた。病院に搬送される羊が数匹確認された。ああ、根性なし。自己管理のできない根性なしどもの集まり。それなのに、私は倒れることもできず、意識をなくすこともできず、ただ歩いているほどのペースでさぞ走っていますと言う顔をしてぐるぐると、決まった道から逸れることもなく、ただ延々と走っている。もう時間に追われることもなかった。なんせ時間がもう私を追い越して行ったのだから。ああ、もうあんなに遠くに行ってしまった。時間から解放された私はもうただ自分のペースで走っていた。別になんだって良かったのだ。しかしきっとまたこの一周が終わって、ゴールテープを、もうすでにないであろうゴールテープを切った時に集まる視線は脅迫的なのであろう。そして私はまた罪悪感に溺れるのだろう。ああ、私には何もできない。何をするにしてもとろい。遅い。ついていけない。だって時間の方が遅すぎる私を通り越していくのだから。私は時間に追われるどころか、時間に追いつこうと必死だった。もう背中を追うこともできないほど離されて、私は孤独の真っ只中にいた。そして、やってくるのは劣等感だ。向いてない。私には向いてなかった。

 

折り合い

 彼は未だに折り合いがつけられずにいるのだろう。しかし紐づけているのは彼だ。また、忘れていたはずの、忘却しておけば良かったものを引っ張り出しては、自分の体に取り込もうとしてしまう。あんなことさえなければ、もっと穏やかに、静かに過ごすことができていたのだろうか。しかし勘違いしていたのは彼自身だ。彼自体が、その穏やかさをバカにしていた。そうあってはいけないと、とことん否定していたのに、今更それが欲しいと言ったところで受け入れてくれる人などいるのだろうか?静寂。一瞬だけ静寂。そしてまた戻っていく。あんなクラブには入りたくないと泣く。叫く。自らの保身のため。そのことを暴露しているだけだ。暴露にも及ばない。謝罪会見。しかし、一体何を謝ればいいのだろうか?過ちを犯していたのだろうか。かと言っていつまで攻め続ければいいのだろうか?どうして自分のことを一番に許せないのだろうか?許す気がないのだろうか?それならば、どうして許したいのだろうか。許されることを望んでいた。しかし、彼は手放さないだろう。見栄を張り、自信のなさを隠蔽するのだろう。そうやって虚栄心を前面に押し出し、それがもうすっかりバレてしまっている隠蔽工作だということを気づきながら、それでも虚栄心を隠すことはできないのだろう。そうすることでしか、そうすることでしか、彼は生きていけないと勘違いしているのだから。やれ自分はすごいだ、やれ自分には才能があるだ、そう思い込むことでしかやっていけないのだ。あくまでも思い込んでいるだけで、実際のところはどうか知らない。また幼稚だと思い悩むのが落ちだ。

 

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陰る。

 

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溝井孝司(Koji Mizoi)

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